ワンちゃんの「ぽっちゃり」にご用心!肥満の原因や対策を解説
おうちのワンちゃん、なんとなくぽっちゃりしていませんか?丸々したワンちゃんはかわいいのですが、もしかしたら肥満かもしれません。肥満はワンちゃんの健康に、さまざまなリスクを与えます。
太り過ぎが心配になったら、ワンちゃんのライフスタイルや食生活を見直しましょう。この記事では、ワンちゃんの肥満の原因や対策について解説します。
ワンちゃんの肥満とは?
ワンちゃんの体重が明らかに増えた、左右に揺れて歩く、あまり動きたがらない、呼吸困難がみられる場合は肥満の可能性があります。
肥満とは、体脂肪の蓄積が過剰になった状態です。一般的に、ワンちゃんの理想の体脂肪は20%前後といわれています。30%を超えると過体重、40%以上は肥満です。
ワンちゃんの肥満の判断は、「ボディコンディションスコア(BCS)」で評価します。ボディコンディションスコアは、見た目や触った感触によるもので、次のように分類されています。
BCS1:「やせすぎ」
肋骨や頸椎、骨盤などが外からもわかります。脂肪には触れることができません。腰のくびれとお腹の吊り上がりが目立ちます。
BCS2:「やややせ」
肋骨に簡単に触れられます。上から見ると、腰のくびれがよくわかる状態です。お腹の吊り上がりもはっきりしています。
BCS3:「理想的」
脂肪は薄く、肋骨には簡単に触れます。上から見ると、肋骨の後ろ側に腰のくびれがある状態です。
BCS4:「過体重」
脂肪の沈着が厚いものの、肋骨には何とか触れることができます。腰のくびれはなんとか判断できます。
BCS5:「肥満」
脂肪は分厚く、肋骨がわかりません。腰のくびれはほとんどなく、お腹は吊り上がっていません。
実際に見たり、触ったりして「うちの子肥満かも?」と思ったら、動物病院を受診しましょう。
肥満の弊害やリスク
人間の肥満が、さまざまな病気のリスクを招くのと同じように、ワンちゃんにもリスクが生じます。肥満がすぐに命に関わることはありませんが、健康に悪影響を与えてしまうのです。
・病気
呼吸器の病気や心臓病、高脂血症、シュウ酸カルシウム尿石症、などのリスクが高まります。短頭種のワンちゃんは、気道を首周囲の脂肪に圧迫されて呼吸困難になることもあるのです。体重が重くなると、椎間板や股関節なども傷めやすくなるでしょう。
膿皮症やマラセチア性外耳炎など皮膚の病気のほかに、乳腺腫瘍のリスクも高くなるといわれています。
・手術への影響
なんらかの病気やケガで手術が必要になった場合、麻酔にかかりにくくなります。組織の修復も遅くなりがちです。
・出産への影響
受胎率が下がったり、発情期が乱れたりします。出産時は難産になるワンちゃんが多いでしょう。
肥満の原因
ワンちゃんによって、原因はさまざまです。原因がいくつも重なっている場合もあります。
・犬種
遺伝的に太りやすい犬種があります。
ラブラドール・レトリーバー、ゴールデン・レトリーバー、シェットランド・シープドッグ、コッカー・スパニエル、ダックスフント、ビーグル、ミニチュアシュナウザー、パグ、チワワなどが太りやすいといわれています。
ただし、これらの犬種のワンちゃんが絶対に太るわけではないので、心配しすぎないでください。
・食べ過ぎ
食べ過ぎは最も大きな原因です。ねだられるままフードやおやつを与えてしまうと、当然体重が増えてしまいます。特におやつはワンちゃんの喜ぶ様子がうれしく、多く与えがちです。
人間用のパンやおやつ、アイスなどもワンちゃんにはカロリーが高すぎます。特にワンちゃんは甘いものが好きなので、一度味を覚えると欲しがるようになります。
ドッグフードを食べずに、おねだりで吠えまくるので、静かにさせるために与えてしまうなど悪循環も生じがちです。
また、見落としやすいのが、ワンちゃんのライフステージに合わないフード。運動量が減っているシニアなのに、成長期のフードをそのまま食べさせるのも肥満の原因です。
・運動不足
散歩の時間が短すぎるなど、運動不足も肥満を招きます。お家の中いる小型のワンちゃんは、特にお散歩が少なくなりがちです。
食べ過ぎて太ってしまい、散歩や運動が面倒になってしまったワンちゃんもいるかもしれません。体重の増加で関節が痛み、散歩を嫌がることもあります。
・避妊・去勢
避妊や去勢も、肥満の原因になります。エストロゲンというホルモンが持つ、摂食の抑制効果が働かなくなるため、メスのほうが太りやすいようです。
肥満が心配になったら動物病院へ
うちのワンちゃん太り過ぎ!といきなりフードを減らしたり、運動量を増やしたりするのは危険です。肥満によって、何らかの病気になっていたり、足腰に痛みがあったりするかもしれません。まずは、動物病院を受診しましょう。
動物病院では、効果的で安全なダイエットを指導してもらえます。肥満の状態によっては、ダイエット専用の療法食が処方されるかもしれません。必ず指示に従いましょう。
なお、定期的に動物病院で健康診断を受けていると、体重や体型の変化にすぐ気づけます。最低でも1年に一度は健康診断を受けておくと安心です。
肥満の予防方法
「うちのワンちゃんは、今のところ肥満ではないけれど心配」という飼い主さんは、次の点に注意してください。肥満の予防は、毎日の積み重ねが大切です。
・フードの量に注意する
フードを与える際は、パッケージに書かれた給与量をきちんと守りましょう。目分量ではなく、カップで測ることが大切です。
フードを入れられるおもちゃを利用すると、ワンちゃんの退屈もなくなるのでおすすめです。
・おやつの量を守る
おやつの食べ過ぎは禁物。おやつの適正な量は、1日に必要なカロリーの10~20%です。おやつを食べた分は、フードの量を調節してください。おやつだけでなく、撫でたり、ほめたりするのもごほうびです。
・人間の食べ物は与えない
味が濃すぎたり、カロリーが高すぎたりと、人間の食べ物はワンちゃんにとっていいことはありません。おねだりされても人間の食べ物は与えないようにしましょう。
・適度な運動をする
朝晩の散歩やドッグランの利用など、ワンちゃんに合った運動をしましょう。飼い主さんの運動やストレス解消にもなります。ワンちゃんとの大切なコミュニケーションの時間でもあるので、楽しく散歩したいですね。
・家族で話し合う
フードやおやつは適切な量を与えることが重要なのに、家族の中に「好きなだけ食べさせたい」「こんなに欲しがっているのにかわいそう」と思う人がいるとなかなかうまくいきません。
なぜ食べ過ぎはいけないのか、肥満の害などを、かかりつけの獣医師に説明してもらうのもいいでしょう。
まとめ
ワンちゃんの肥満は、さまざまな病気のリスクを高めます。もし心配になったら、動物病院を受診してチェックしてもらいましょう。肥満と診断されたら、獣医師の指示に従うことが大切です。
肥満ではないワンちゃんも、フードやおやつの与えすぎに注意し、適度な運動を心がけてください。ワンちゃんが健康で過ごすためにも、肥満には十分注意しましょう。