食器やおもちゃ、寝床に触ると犬が怒る!原因と対処法を解説
食器やおもちゃ、寝床などに近づくと唸る犬に困っていませんか?これは自分のお気に入りを守りたい気持ちから発生すると考えられています。
「唸る」のは、次の行動「咬む」につながる威嚇です。そのため叱るのは逆効果で、咬まれる恐れもあります。無理に取り上げるのも危険です。今回は、お気に入りに触ると怒る犬への対処法を解説します。
※すでに咬んでくる、攻撃的で困っている場合は、かかりつけの動物病院や行動専門の獣医師に相談してください。
犬が唸る理由
唸るのは、自分の大事なものや場所を取られたくない犬の本能です。ゆっくり落ち着いてご飯を食べる、安心できる場所で眠るのは犬にとって大切なこと。それを脅かすものがくれば守ろうとするのは意味正常な行動ともいえるでしょう。
また、唸ったら人間が手を引っ込めた、あきらめた様子を見て「唸ると効果がある」と誤った学習をしている可能性もあります。学習してしまうと唸りや攻撃性がますます悪化してしまうケースも少なくありません。
人と暮らす以上、そのままにするわけにはいきません。少しずつ改善していきましょう。
犬にとって唸るとは?
飼い主さんの多くは、犬が唸る様子を一度でも見たことがあると思います。犬の「唸り」の理由は、さまざまです。必ずしも威嚇ではなく、体調不良の場合もあります。
・恐怖心からくる唸り
身の危険を感じたときに唸るケースです。叩かれた経験のある犬が、人の手を見ると唸るのは恐怖心からです。動物病院が怖くて、獣医さんに唸ってしまう犬もいます。
・縄張り意識からくる唸り
知らない人や他の動物が自分の縄張りに入ると、唸って追い払おうとすることがあります。
配達やセールスの人、庭を通る野良猫などに唸るのは「入るな!」の警告ですね。
・遊びの興奮で出る唸り
犬は飼い主さんとの引っ張りっこなどの遊びが楽しく、興奮しすぎて唸ることがあります。攻撃や威嚇ではないものの、お互いのケガ予防のためにも落ち着かせる方が安全です。
・痛みや体調不良からくる唸り
体のどこかが痛い、触られると痛みがある場合も犬は唸ります。早めに動物病院を受診しましょう。
・出産した母犬の唸り
赤ちゃんを出産したばかりのお母さん犬は、子犬を守ろうとして唸ります。ほとんどが一時的なものです。
・取られたくない気持ちからくる唸り
今回のテーマである「唸り」です。犬には所有欲があります。そのため、誰かに大切なものを取られそうになると、守りたい思いから唸ってしまいます。
たとえ飼い主さんが食器を片付けようとしただけでも「取られてしまう」と思う犬もいます。咬む行動につながりやすく、注意が必要です。
唸る犬への対処方法
まずは唸る状況を作らないようにします。「飼い主さんを始め、家族全員が犬の大切なものを取る人ではない」と認識させましょう。
・食器は犬がいない間に片付ける
食器に触ると怒る犬の場合、犬がいない間に食器を片付けるようにします。散歩中に他の家族が片付けてしまうのがいいでしょう。または、散歩から帰ったら別の部屋に犬を連れて行って好きなおやつをばらまきます。おやつを食べている間に片付けてしまいます。
・食事場所や寝床の位置を見直す
犬の食事場所や寝床の位置を見直しましょう。食器や寝床に近づかれるのがイヤなので、その刺激を減らします。家族があまり近くを通らない位置に移動するのが効果的です。
犬の食事中から食後30分程度は、見つめたり声をかけたりせず知らんぷりします。これらの対策で、犬の「取られる」不安がだんだんなくなってくるはずです。
・寝床の執着心をなくす練習
犬が寝床以外にいるときに、おやつを手に持ちニオイを嗅がせます。そのまま少し離れた場所に誘導します。移動できたらおやつを与えます。この練習を繰り返してください。
「飼い主さんに誘導されるといいことがある」と覚えるので、寝床からも簡単に移動されられるようになります。最終的にはおやつをなくし、ことばだけで移動できるようにしましょう。
・おもちゃはおやつと交換
くわえているおもちゃを離さず、唸っている場合は、おやつと交換します。声掛けは「ちょうだい」がいいでしょう。
唸らずにおもちゃを離したら、おやつを与えます。唸っている場合は、おやつは与えません。これを繰り返し、「飼い主さんの言う通りにしたらいいことがある」と覚えさせます。
・近くに来るといいことがあると思わせる
取られる不安がだんだんなくなってきたころ、少しずつ犬の認識を変化させます。人が自分の近くに来るといいことがあると、覚えさせるのです。近づきながらおやつをあげるなど、犬にとってうれしいことを増やします。
落ち着いたからといって、いきなり食器に触ったり取り上げたりするのは逆効果。様子を見ながら徐々に進めていくことがコツです。
・子犬なら唸らせない練習を
犬が子犬なら、唸らせないチャンス。子犬には、手でフードを追加すると「人が近くにいるといいことがある」と覚えさせることができます。ただしすでに唸ったり、咬みついたりする子犬には危険なのでやらないでください。
手に食器を持って、手からフードを入れながら食べさせます。慣れてきたら食器を床に置いて、フードを追加します。様子を見ながらお気に入りのおやつも追加していきましょう。
人の手は「ごはんを追加してくれる」と学ぶので、食事中に近づいても唸らない犬になります。
やらない方がいいしつけ
犬にとって逆効果のしつけもあります。ついやってしまいがちなので、気を付けてください。
叱る、怒鳴る
叱ったり怒鳴ったりしないでください。叩くのももちろん逆効果です。唸られたときはとっさに「コラ!」と怒りたくなるでしょう。しかし叱られると恐怖心を植え付けてしまう恐れがあります。「唸ったら叩かれた、今度は咬もう」となってもおかしくありません。唸られたら、その場を離れてください。
わざと取り上げる
唸っているのを無視して、食器やおもちゃをわざと取り上げるのもやめましょう。「何度もやると慣れるのではないか」と思うかもしれませんが、慣れません。唸っても取り上げられると、すます攻撃的になる可能性があります。寝床から力づくで犬を移動させるのも危険です。
まとめ
所有欲から自分の食器やおもちゃ、寝床を守ろうと唸る犬がいます。唸るのは、「咬む」攻撃の前段階です。少しずつ改善していきましょう。
まずは食事中、食後は離れた場所で過ごすなど、唸らないですむ状況を作り、安心させます。おもちゃはおやつと交換する方法がおすすめです。
無理に食器やおもちゃを取り上げない、寝床からどかさないようにしましょう。大声で怒鳴るのは逆効果です。なかなか修正できない、咬もうとしてくる場合は、必ず動物病院で相談してください。