犬が穴掘りをするのはなぜ?注意が必要な穴掘りも解説
犬が土まみれになって一生懸命穴を掘る姿、かわいいですよね。家の中では自分のベッドを掘る犬もいます。しかし、しょっちゅう掘っている姿を見ると少し心配になる飼い主さんもいるかもしれません。
犬はそもそもなぜ穴を掘るのでしょうか?今回は犬が穴掘りをする理由と注意が必要な穴掘りを解説します。
犬が穴掘りをする理由とは?
犬にとって穴掘りは本能的な行動です。しかし穴掘りの理由は1つではありません。
大切なものを隠すため
おいしいおやつをもらった犬が庭に穴を掘って埋めるのは、大事なものを隠しておきたいからです。ボールなど、お気に入りのおもちゃを隠す場合もあります。
犬は野生だったころ、満腹になって食べられなくなった食料を埋めて保存していました。野生下では、いつもふんだんに獲物があるわけではないので、食料が欠乏する時期に備えていたのですね。
穴を掘って隠す行動は、ヘラジカなど大きな獲物を狩ったときなどに行っていたようです。オオカミにも似た習性があります。犬が冷たい肉や腐肉も平気で食べるのは、食料を隠す習性も関係しているのです。
狩りをしていた名残
犬は穴を掘って、小さな獲物も捕まえていました。土中に隠れたネズミなどを捕まえようと、必死に穴を掘りまくっていたのです。掘って食料を隠すのと異なり、狩りで掘る場合は土で穴を埋めません。
庭などを掘ったあとほったらかしする場合、土の中の生き物を追っていたのかもしれませんね。
土の中で涼むため
暑い日は、土を掘った穴に体を入れて涼みます。掘ったばかりの土は、湿気を含んでヒンヤリしているのでちょうどいいのですね。野生のときは寒い日も穴を掘って、暖を取っていたようです。
今、多くの犬がおうちの中で暮らしているので、掘った穴で涼む光景はなかなか見られないかもしれません。
巣穴を整えたい気持ち
野生の犬は、体がちょうどおさまるくらいの穴を掘って寝床にしていました。すっぽり体がおさまる空間にいると落ち着くのはそのためです。クレートを選ぶ際、「大きすぎず小さすぎず、体にちょうどいい大きさを」と言われる理由もわかりますね。
ベッドや敷物を掘るのは、自分にとってちょうどよい状態にしたいという思いからくるのでしょう。特に新しいベッドや敷物は丹念に掘って整えるようです。
「何があるのかな?」好奇心や遊び
土の中に何があるのか探る場合も犬は穴掘りをします。地中からは虫やミミズ、湿気などさまざまな匂いが漂ってきているのです。生き物がいた形跡のある穴があれば、犬は興味津々です。
人間にはわからなくても、土からは犬にとってはたくさんの情報が発信されています。ある程度は好きなように掘らせてあげるといいでしょう。公園など公共の場を掘った場合は、埋めておいてください。
敷物などの下に、おもちゃなどを隠すと犬は家の中でも穴掘り行動をします。一緒に遊ぶと楽しいですね。
注意したい穴掘り行動と対策
穴掘りは犬の本能なので、たくさん穴を掘っても基本心配はありません。しかし、注意したい穴掘り行動もあります。
退屈から来る穴掘り
退屈になると穴を掘る犬もいます。あまりかまってもらえない、散歩が少ない、留守番ばかりというケースではよく見られるようです。外飼いで1匹家から離れた場所につながれている犬は、庭をたくさん掘ります。庭がない場合、犬小屋の中を掘ろうとするでしょう。室内にいる犬の場合は、カーペットやソファをひたすら掘り続けます。
犬は群れの動物。外にいる犬は、家族と一緒に過ごすためにもなるべく家の中での飼育をおすすめします。落ち着いて過ごせるクレートを、家族が過ごすリビングの隅に置くだけでもかなり退屈は減るはずです。
散歩や運動の時間も増やしましょう。散歩のコースも日によって変えると刺激になります。おもちゃで一緒に遊ぶのも効果的です。お出かけ前にたっぷり遊ぶと、留守番中はぐっすり眠ってくれます。
叱るとますます穴を掘る犬
やめさせようと、「ダメ!」「こら!」と叱ると、ますます穴を掘る犬もいます。この場合は、かまってほしいがためにやっている可能性もあります。
退屈でさびしい犬にとって、飼い主さんの声かけほどうれしいものはありません。たとえ叱られるとしても、自分の方を向いてくれたと喜ぶのです。声をかけてほしくて飼い主さんの目の前で、わざと穴掘りをする犬もいます。
やめさせたい場合は、穴掘りを中断した瞬間に声をかけてほめてあげましょう。代わりにおもちゃを渡し遊ぶ時間を増やしてください。
いつまでも寝床を掘る
寝床を掘ってばかりでなかなか寝ない、掘り過ぎてボロボロにしてしまった場合も注意が必要です。寝床そのものが気に入っていないと考えられます。
敷物などの素材や柔らかさ、弾力などをチェックしてみましょう。寝床の場所が暑すぎないか、寒すぎないかなども確認してください。意外と床暖房が熱すぎるなどの理由があるかもしれません。
前足をカリカリとかく仕草
気持ちを落ち着かせるための「カーミングシグナル」の可能性があります。不安やストレスなどを抱えているのかもしれません。トレーニング中に前足で床をカリカリしたり、あくびをしたりしたら一休みしましょう。
掘り過ぎとケガに注意
穴を掘り過ぎると前足の肉球などから出血する恐れがあります。ストレス解消させても掘ってばかりいる犬は、動物病院で相談しましょう。
ループのあるじゅうたんやニットのクッションで穴掘りをすると、爪をひっかけて危険です。ケガをしないようにカーペットに変更したり、カバーをかけたりなどケガを予防してあげましょう。
まとめ
犬の穴掘りは、本能です。大事なものを隠したり、狩りの名残だったり、涼んだりとさまざまな理由があります。もともと巣穴で暮らしていた犬は、穴を掘りたくなるのです。
しかし退屈やストレスからも犬は穴を掘ります。かまってほしくて、声をかけるとますます穴を掘る犬もいるのです。前足をカリカリさせて掘る仕草は、不安を感じている可能性もあります。
飼い主さんは、犬の楽しそうな穴掘りは見守り、やり過ぎやケガ予防には十分注意してください。