賢い犬種を10種紹介!飼い方のポイントも解説
犬は、人にとって一番身近な賢い動物。その従順さ、健気さに心が打たれることも多いですが、賢さの面で驚かされることも多くありますよね。記憶力を含め、犬は素晴らしい能力を持っています。
今回は、その中でも一般的に能力が高いとされる犬を「賢い犬種」として、10種をご紹介したいと思います。
賢い犬を飼いたいと思う方も多いはず。ただし、賢いがゆえ人が注意してあげなければいけない点も存在します。今回は賢い犬との付き合い方や飼い方にも触れて、賢く勇ましい犬との絆の深め方について考えていきます。
犬のIQを計測する研究から導き出された賢い犬ランキング
犬の犬種によって知能の高さに違いがあるのは事実です。イメージとしては、愛玩犬と比較すると、元々牧羊犬だったり、狩猟犬として活躍していた犬は高い知能や能力が必要そうですよね。
カナダのバンクーバーにあるブリティッシュ・コロンビア大学で犬のIQの研究をしている心理学教授スタンレー・コレン博士が3つのテストを行い、「本能や直感(本能的知能)」「自分で考え解決する能力(適応知能)」「指示に従う能力(従順知能)」という観点から、132の犬種の中から犬の知能指数ランキングなるものを導き出しました。そちらのデータをもとに、賢い犬10種をランキングにしてご紹介します。
賢い犬①ボーダーコリー
ボーダーコリーは日本でも長く人気の犬種ですね。ご存知の方も多いかもしれませんが、もともとイギリスで牧羊犬として活躍していた犬種です(現役で活躍している犬もいます)。高い運動能力も持ち合わせていることも特徴です。
IQという意味では「指示の理解度」「初めての指示の理解のよさ」で多くの犬種の中でトップに立ちました。牧羊犬として、人からの指示を素早く正確に理解し、追う羊の行動に対しても柔軟な判断で動いていた様子が想像できます。
美しい毛並みと個体によって異なる色や模様も日本でも人気の秘密ですね。
賢い犬②プードル
プードルも安定した人気を保つ犬ですね。賢さゆえしつけがしやすいだけでなく、穏やかな性格傾向で特に一番ポピュラーな大きさのトイプードルは、飼いやすさの面でもトップに君臨するといえるでしょう。
フランスが原産で貴族や王族が愛玩しているイメージでしょうか。
しかしあまり知られていませんが、プードルはかつて使役犬としても活躍していました。使役犬とは盲導犬や警察犬を含む、人のために仕事をしてくれる犬を指します。
プードルは、原産の犬時代、水猟犬としてカモ狩りをしたり、大きい品種(スタンダードプードル)は荷車を引くこともしていたようです。
プードルの名前の由来は、ドイツ語の「Pudel(プデル)」(水中でバチャバチャと音を立てる)から来ています。水猟犬をしていたころはドイツに多くいてそこからフランスに移入されたといわれています。
賢い犬③ジャーマンシェパード
警察犬・軍用犬として有名なジャーマンシェパードもいわずと知れた賢い犬です。
具体的には、練習を5回行った直後のシンプルなコマンドに対し95%正しく従うという結果を出しており、理解力の速さと行動の精密さにおいて大変優れた能力を持っていることがわかります。
また忠誠心が強く、状況の変化に慌てないメンタル、そして人に対する協調性も持ち合わせた犬です。
ドイツ生まれのジャーマンシェパード。シェパードはドイツ語で「牧羊犬」という意味があります。ドイツのヴェルテンベルク地方などでもともと牧羊犬として活躍していた犬です。
賢い犬④ゴールデンレトリバー
ゴールデンレトリバーは、大型犬の中でも性格も穏やかで飼いやすさの面でも人気の犬です。
そしてその賢さからゴールデンレトリバーも使役犬として活躍していますね。その性格の人懐こいところなども活かして、盲導犬や介助犬として活動していて、街中で見かけることも多いです。
人の気持ちや感情を察する能力が優れていて、人に対して寄り添ってくれる存在におおいになりうる犬です。
イギリスが原産で狩猟を手伝っていた犬です。「Retrieve(レトリーブ)」、意味は「回収する」。獲物を回収する役目をしていて、そのレトリーブが名前のレトリバーになったようです。
賢い犬⑤ドーベルマン
警察犬や軍用犬だけでなく、麻薬探知犬として活躍するドーベルマンも賢い犬の代表格ですね。
こうした職務を持つドーベルマンは少し怖いイメージもあることでしょう。警戒心がとても強いため番犬向きで、知らない人には威嚇するようなこともあります。
飼い主には忠誠なので、しっかりと飼い主がリーダーとしっかり認知すれば、よいパートナーシップが築けることでしょう。
ドーベルマンの名前は、税務職員が本業のカール・フリードリッヒ・ルイス・ドーベルマン氏の名前からきています。職業柄、金銭を持ち歩くことが多かったドーベルマン氏が優秀な護衛犬を作りたくて手掛けたのがドーベルマンなのです。
賢い犬⑥シェットランドシープドッグ
ボーダーコリーにも似ていますが、いくらか小柄のシェットランドシープドッグ。名前にシープ(=羊)がついていることからもわかるように牧羊犬として活躍していた犬種です。ボーダーコリーに近い性質をやはり持っています。
また、飼い主に対しても愛情深く、しつけもしやすい犬です。「シェルティ」の愛称で日本で長く愛されている犬ですね。
服従訓練を競う競技会でも活躍している様子が見られるのが犬です。
賢い犬⑦ラブラドールレトリバー
ラブラドールレトリバーは、賢さとともに協調性や優しさを併せ持った犬です。状況判断などをする能力の高さから盲導犬など使役犬としても活躍していますね。
社会性、社交性の高い犬なので、他の犬や猫ちゃんといった動物たちとの暮らしもストレスなくできます。他の動物たちと触れ合ったり温めてあげるような仕草をみせてくれたりする魅力的な犬です。
賢い犬⑧パピヨン
パピヨンの先祖は、元々はリス犬と呼ばれ巻いたリスのような尻尾が特徴の犬でした。その頃は垂れ耳でした。ところが19世紀末ごろスピッツやチワワと交配させて現在の耳がピンとたった立ち耳タイプの犬になり、その耳の特徴から「パピヨン(フランス語で蝶の意)」と呼ばれるようになりました。パピヨンは長くフランス貴族に愛玩犬として飼われ、おっとりしているのかとイメージもしますが、実は抜群の運動神経と賢さを兼ね備えた犬です。
プライドの高いわんちゃんでもあります。飼う際は、主従関係を強く持たせるより、信頼関係を築く形でパピヨンの持つ自我の強さに寄り添うスタンスでいると、よい関係が構築しやすいでしょう。
賢い犬⑨ロットワイラー
日本では身近ではないかもしれませんが、映画などで見かけることがあるロットワイラー。とてもがっしりとした筋肉質の体型ですが、忠誠心がとても強く、温厚な犬です。
一方で警戒心は強く、自分を顧みず敵と思われるものには飛びかかっていく番犬向きの性格で山岳救助犬などとしても活躍しています。
ロットワイラーは最も古い犬種に含まれるといわれています。ロットワイラーの祖先はローマ帝国時代、兵士の食料となる牛の群れを引っ張っていたのです。ロットワイラーの名前自体は、その後ドイツのロットワイルという町に定着し、牧羊犬・牧畜犬として改良されていったことから来ています。
賢い犬⑩オーストラリアンキャトルドッグ
オーストラリアンキャトルドッグは、牛追い犬として活躍していました。そのためか特に状況判断能力に優れて、自分のすべき行動を判断、行動に移すことができます。頑固な一面がありますが、飼い主に対して誓った忠誠は破りません。
長生きすることができ、犬の中のギネス記録も持っています。20歳以上生きる子も多く、ギネスに認定されているブルーイーは29歳5ヶ月で生涯をとじたそうです。
犬の知能は人でいうと何歳くらいなの?
犬のIQの研究によれば、犬は人の言葉を165個理解し、数字も5まで数えられるとされていて、人の2~3歳児と同程度の知能を持っているのではとされています。
確かに犬はコマンドの言葉だけでなく、人が発する会話から話をよく理解するようなことがありますよね。コマンドも数字を使ったものを訓練することができます。
知能が高い動物といえばサルも思い浮かびますが、人を理解しようとする能力において犬のほうが優れているといわれています。たとえば、飼い主が指差したものを理解して取ってくるなど、察する力の面で犬に勝敗があがります。
賢い犬が飼いやすさとイコールでないことに注意
賢い犬は一見しつけがしやすそう、言うことにきちんと従うから飼いやすそう、そんな犬を飼ってみたいと思う方もいるかもしれません。
しかし、賢いがゆえ少しプライドが高かったり、飼い主がきちんとリーダーシップをみせられないと関係性がうまく築けず、特に牧羊犬などでは無駄吠えなどがおこることがあります。また、警察犬となるシェパートやドーベルマンなどでは飼い主との関係性がうまく行っていないと時として飼い主に歯向かうこともあるなど、賢さが飼いやすさとイコールにはなっていないことに注意が必要です。
また、中型犬でも大型犬並みの運動量を欲する犬種もいます。大型犬で室内飼いをするならそれなりのスペースも必要になってきます。そういった面でも大変さがあることになります。
賢い犬と上手に付き合うには
もしこれから今回挙げた賢い犬を迎えたい場合は、運動量の面で満たしてあげられるか、ときにトレーナーさんなどから専門的なトレーニングを受けて飼い主である自分やその家族と良好な関係を築く準備や環境が整うかしっかり考える必要がありそうです。
賢い犬は主従関係やパートナーシップをきちんと築ければ、最高の愛犬となってくれるでしょう。
また先に挙げた10種の中では小型犬ならトイプードル、中型犬ならシェットランドシープドッグ、大型犬ならラブラドールレトリバーやゴールデンレトリバーが性格的にも温厚で飼いやすいともいえます。
まとめ
賢い犬と呼ばれる10犬種の紹介をしてきました。使役犬として警察犬や盲導犬などで活躍する犬も多く、その賢さやひとに対する忠誠心には感銘してしまいますよね。
賢い犬を飼うのは、必ずしも簡単ではないこともご説明しました。一方でこうした犬たちと絆を深め、よい関係性が築ければ犬と過ごすかけがえのない時間は濃密で素敵なものになっていくでしょう。
また犬にも個体差はありますし、このランキング上位でない犬も犬の持つ賢さはしっかり備えているものです。
犬がそれぞれ本来持つ賢さやよさを、飼い主である人間が最大限引き出してあげられたら一番ですね。