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シニアのワンちゃんに多い白内障、原因や治療と生活上の注意点

シニアのワンちゃんに多い白内障、原因や治療と生活上の注意点

ワンちゃんも年齢を重ねてくると、体力と免疫力が低下し、あらゆる病気になるリスクが上がってきます。中でもゆっくりと進行する目の病気「白内障」になるワンちゃんは多く見受けられます。今回はワンちゃんが白内障になる原因や治療について詳しく解説します。また生活上の注意点についても解説しますので、シニア犬を飼われている飼い主さんはぜひ参考にしてみてください。


白内障とはどんな病気?

白内障とは、目の中のレンズの役割をしている水晶体という部分が白く濁ってしまう目の疾患です。初期段階では黒目の周りがうっすらと白くなるだけなので、飼い主さんが気づかないことも少なくありません。


しかし、やがて症状が進むにつれ、黒目の部分が全体的に真っ白になってしまい、ほとんど目の見えない状態になってしまいます。


一度白く濁ってしまった目は元に戻ることはなく、視覚に異常があることから、ワンちゃんの生活に影響を及ぼすようになります。


白内障になる原因・なりやすい犬種

白内障は、目が見えにくくなり、やがて失明する可能性もある怖い目の疾患ですが、どのようなことが原因で白内障になるのか非常に気になるところではないでしょうか。


この章では、白内障になる原因と、白内障になりやすいといわれている犬種について解説していきます。


ワンちゃんが白内障になる原因とは?

一般的にワンちゃんの目が白内障になってしまう大きな原因は、老化によるものです。7歳のシニア期に突入したワンちゃんには、注意すべき病気のひとつとして挙げられてます。


白内障になる原因は他に、遺伝によるものや外傷、薬剤による副作用、糖尿病による合併症などもあります。


白内障になりやすいといわれている犬種

白内障になるもっとも多い原因は「老化」によるものなので、全犬種に起こりうる白内障ですが、中でも白内障になりやすいといわれている犬種がいます。


柴犬、チワワ、シーズー、トイプードル、ヨークシャテリア、ダックスフント、ゴールデンレトリバーです。


ただし、白内障になりやすいといわれているだけなので、必ずしも発症してしまうわけではありません。参考程度にしてくださいね。


白内障の症状とは?

「もしかしてうちのワンちゃん、白内障かも」と不安になっている飼い主さんは、ワンちゃんが以下のような行為をしているかどうか、じっくりと観察してみてください。


・黒目の部分が白くなっている

・頻繁にどこかへぶつかっている

・つまづくことが多くなった

・においを嗅ぐことが多くなった

・動作がゆっくりになった

・まぶしそうにしている など


これらの症状が見られたら、白内障になっている可能性があります。一番わかりやすい特徴は「黒目部分が白くなっている」ことです。


白内障の症状が進行するスピードには個体差がありますが、一般的にワンちゃんの白内障はゆっくりと進行するケースが多いです。

進行が遅い場合、ワンちゃんが見えにくい状態に順応していくため、飼い主さんが気づきにくくなります。

また、元々ワンちゃんは、視覚だけではなく嗅覚や聴覚がすぐれているため、目が見えにくくなってもにおいを嗅ぐことや音に聞き分けることで視覚の異常をカバーするようになります。そのような理由から、飼い主さんが気づきにくいというのも頷けるのではないでしょうか。


ワンちゃんによっては、白内障の進行が早いケースもあります。この場合は、嗅覚や聴覚に頼ることが増えてきます。

つい最近まで普通に生活していたのに、ご飯やおやつが置いてある場所を探すことに時間がかかったり、物にぶつかることが増えたりなどの急速な変化がみられるようになります。


白内障を早期発見でき、進行を抑える治療を早いうちから受けることができれば、完全に失明するまでの年月を延ばせます。


治療を受けずに白内障を放置しておくと、進行するスピードを抑えないことになるので、失明してしまう日が早く訪れてしまう可能性が高くなります。


動きが鈍くなった、歩いているときによくつまづくようになったなどの変化に対して、シニア犬になったからだろうと安易に思わず、できるだけ早めに動物病院を受診し、獣医師に相談するようにしてください。


白内障の治療とは?

白内障は目の専門的な治療が必要で、内科治療と外科治療があります。

発症の初期段階であれば内科治療で経過観察、根治を望む場合は外科治療になります。


では、内科治療と外科治療について、それぞれ解説します。


発症初期の場合は内科治療

発症の初期段階であれば、進行を抑えるための点眼薬や抗炎症薬、サプリメントの服用で白内障の進行を遅らせることが可能です。


ただし、失われた視力を元に戻すことはできません。また完全に進行を止めることも不可能です。

発症初期の治療は、白内障の進行をできるだけ遅らせることと、ブドウ膜炎や緑内障、網膜剝離などといった合併症の予防が目的になります。


症状が進行している場合は外科治療

頻繁にどこかにぶつかっている、明らかに見えにくそうにしている場合は、白内障がかなり進んでいる状態になっている可能性が高いため、獣医師から手術を勧められることもあります。


手術は、ひとの白内障手術と同じく、濁ってしまった水晶体を取り除き、人工のレンズを挿入します。

手術費用は動物病院によって異なりますが、手術前の検査費用として片目5万円くらい、手術費用と入院費でおよそ30万円から40万円ほどかかります。


ただし、手術は全身麻酔をしなくてはならないため、シニア犬の体にはリスクが大きいです。また、数日間の入院になるため、ワンちゃんにとって、かなりのストレスになることも考えられます。


症状がかなり進行していると、眼底に問題が生じ、手術を受けても視力が戻らない可能性が高くなります。この場合は手術が適切な処置ではないと判断する獣医師もいます。


実際に白内障の手術を受けるワンちゃんは、白内障を患っているワンちゃん全体の1割程度といわれています。少ないですね。

ワンちゃんの体へのリスクや費用面などの理由から、手術を受けさせない選択をする飼い主さんが多いようです。


飼い主さんがするべき生活上の注意点

白内障によって目が見えにくくなったワンちゃんは、見えにくいながらも順応して生活をするようになります。


しかし、視覚に異常が出ているワンちゃんのことを安全面から考えると、QOL(生活の質)を上げるべきだといえます。


それでは、飼い主さんがワンちゃんにしてあげられる生活上の注意点についてご紹介していきます。


アイコンタクトをしましょう

飼い主さんとワンちゃんが見つめ合えば、自然と目の状態を観察することができますよね。

すでに白内障になっているワンちゃんの場合は、進行具合を確認する意味合いがあります。


普段からアイコンタクトを取っていれば、黒目が白っぽくなっていることにいち早く気づいてあげることができ、早期治療をスタートできるはずです。

アイコンタクトは躾のために行うことだと認識されがちですが、目や顔の状態を確認できたり、愛情を与えあったりというメリットもあるのです。


シニア犬は年に一度の健康診断を

ワンちゃんは歳を取るスピードがひとよりも早く、ワンちゃんの1年はひとの5年から7年に相当するといわれています。

シニア期に突入する7歳は、ひとの年齢でいうと30代後半から40代後半に相当するので、老化現象の始まりが早いことにも頷けますね。


ワンちゃんも年齢が上がってくるにつれ、体力や免疫力が低下し、体の不調が起こりやすくなります。

また、ワンちゃんは会話をすることができず、傷みに対して我慢をする傾向があります。病気になっていても耐えてしまうことがあり、かなり進行してからわかるケースも少なくありません。


しかし、ワンちゃんは何かしらのSOSサインを出しているはずです。

飼い主さんはワンちゃんからのSOSサインやちょっとした異変を見逃さず、早期発見・早期治療を心掛けたいものです。


そのためにも、7歳以降のシニア期に入ったら、年に一度は健康診断を受けさせましょう。

定期的に健康診断を受けることは、白内障だけではなく、他の病気の早期発見にも繋がります。


飼い主さんはワンちゃんの健康を守る義務があります。ちょっとした異変を見逃さず、大切なワンちゃんが穏やかなシニア生活を送れるようにサポートしてあげてください。


健康診断の検査項目や費用については、動物病院に聞いてみてくださいね。


室内環境の見直しをしましょう

白内障になったワンちゃんは、目が見えにくいことから、物にぶつかる、つまづくことが増えてきます。

そのため、ちょっとした段差でつまづくことが多くなったり、高い所から落ちてしまったり、怪我をしてしまう可能性もあるでしょう。


ワンちゃんがシニア期になったら、安全・安心に暮らせるようにしてあげることが重要です。段差を少なくする工夫や、階段には上がれないようにゲートを付けるなど、室内環境の見直しをしてあげてくださいね。


まとめ

白内障は年月をかけてゆっくりと進行するケースが多く、賢いワンちゃんは目が見えにくいことに順応して生活するようになります。そのため、ワンちゃんが白内障になっていることに気がつかない飼い主さんも多いようです。


もしワンちゃんが白内障になった場合、飼い主さんがしてあげられることは2つです。


1つ目は、少しでも進行のスピードをゆるやかにするために、点眼薬をきちんと挿してあげること、サプリメントを飲ませてあげることです。


2つ目は、目が見えにくくなったワンちゃんが暮らしやすいように室内環境の見直しをしたり、工夫をしてあげることです。


シニア期に突入したワンちゃんには、年に一度は健康診断を受けることをおすすめします。白内障だけではなく、他に病気が見つかったとしても、早期発見と早期治療に繋がるでしょう。


大切なワンちゃんには、穏やかなシニアライフを送ってほしいですよね。ぜひ検討してみてください。