手術を受けたワンちゃんの術後の食事はどうする?
何かしらの病気やケガでワンちゃんが手術を受けたあと、どのような食事を与えてあげたらいいのか疑問に思う飼い主さんも多いでしょう。今回は手術を受けたワンちゃんに適応する食事について解説します。また、食事のほかに飼い主さんがケアしてあげるべきこともご紹介します。
術後のワンちゃんの食事はどうしたらいい?
ワンちゃんがこれから手術を受ける、もしくは手術を受けたばかりの飼い主さんは、ワンちゃんが元気になってくれることを心の底から願っていることでしょう。
手術を受けて、動物病院から退院してきたワンちゃんには、飼い主さんからの愛情たっぷりのケアが必要です。
まずはケアのなかでも重要な術後の食事についてお伝えしていきますね。
ワンちゃんが手術を受けるとなると、基本的には全身麻酔になります。
全身麻酔で手術を受ける場合は、手術前日の夜(21時が目安)から手術当日は絶水・絶食してくださいという指示が出ます。
体内に残留物があると、麻酔の効き目が悪くなったり、手術中に嘔吐してしまったり、手術そのものに支障をきたすことが理由です。
手術中に嘔吐してしまうと、ワンちゃんが窒息してしまう可能性が出てきてしまいます。それは大変危険なことです。
お腹が空いているワンちゃんを不憫に思ってしまいますが、安全に手術を受けるためには仕方ありません。
少量でも飲んだり食べたりしてしまうと手術は延期になってしまいますので、ワンちゃんと同居している全員が知っておくべきことです。
術後の食事は、基本的に獣医師からの指示を守れば、何ら問題はありません。
しかし、絶水・絶食し、麻酔をしたあとなので、消化機能に負担がかからない食事内容にするように心がけるべきです。
具体的にはやわらかいもの、刺激が少ないものがいいでしょう。
普段食べているフードをふやかしたり、ウェットフードを取り入れてもよいですね。
動物病院によっては「回復期用」のフードを取り揃えてあることもあるので、獣医師と相談の上、術後のワンちゃんに与えてみてもよさそうです。
ワンちゃんの様子をみて回復してきたようであれば、徐々に通常の食事メニューに戻していくようにしてください。
手術の種類によって
どのような手術を受けたかによっても術後の食事管理は変わります。
ワンちゃんが受ける手術のなかで多い「去勢・避妊手術」と「抜歯の手術」を受けたあとの食事管理についてご紹介します。
去勢・避妊手術後の食事
去勢・避妊手術は、多くのワンちゃんが受ける代表的な手術でしょう。
これらの手術は、発情によるストレスをなくし、将来的に生殖器の病気のリスクを減らす目的があります。
しかし、去勢・避妊手術を受けたワンちゃんは、活動量が減るなどの理由から、手術を受ける前までの給餌量では太りやすくなるといわれています。
食べ物から摂取したエネルギーが消費エネルギーを上回ってしまうからです。
市販されているフードには「去勢・避妊手術あとのワンちゃん用」と種類があります。
去勢・避妊手術を受けることが決まったら、それまで食べていたフードから切り替えを行うとよいでしょう。
フードの切り替え時期は、去勢・避妊手術を受けた後に日数をかけ、ゆっくりと新旧のフードの割合を変えていくことがポイントです。
術後のワンちゃんの様子と便の状態を観察しながら行うようにしてください。
抜歯後の食事
ワンちゃんによりますが、だいたい抜歯後の3~4日程度は痛みが残るようです。用意したごはんやお水、おやつにも興味を示さないことがあります。
痛みや違和感があるため、口の中に食べ物を入れたり、噛んだりといった行為をしたくないのだと思われます。
それでも空腹を訴えてくる場合には、ウェットフードなど、やわらかいごはんやおやつを与えてあげるようにしてみるのもいいでしょう。
ワンちゃんが何も食べないときは心配になりますが、無理に食べさせなくても大丈夫です。痛みが少なくなって食欲が戻れば、ワンちゃんから進んで食べるようになります。
獣医師の指示やアドバイスを聞き、ワンちゃんの様子をよくみてあげてくださいね。
食事のほかにケアしてあげるべきこと
術後の食事管理はとても大事ですが、そのほかにも飼い主さんがしてあげるべきケアはあります。
安静に過ごせるように配慮する
ワンちゃんは手術前は絶水・絶食をしなくてはならず、手術当日は麻酔をかけられ、もしかしたら術後の痛みでかなりのストレスを感じる可能性があります。
ナーバスになり、鳴いたり吠えたりしてしまうワンちゃんや、手術の恐怖心が残ってしまい、食事を摂ることすら拒否してしまうワンちゃんもいるようです。
術後はおうちに連れて帰ってきたら、ワンちゃんができるだけ安静にできるように気を配ってあげましょう。
激しい運動はもちろん避け、お出かけやお散歩については獣医師からOKが出るまで控えるべきです。
傷口を舐めてしまわないようにする
動物病院では術後の処置として、傷口を舐めてしまわないようにエリザベスカラーを付けることが多いです。
ワンちゃんの唾液に含まれる菌から感染症になってしまうこともあるため、獣医師から外してもよいという指示が出ない限りは付けておくべきです。
エリザベズカラーは首回りに付けるため、動きに制限が出てとても嫌がるワンちゃんもいますよね。
そのようなワンちゃんには、術後に着るワンちゃん専用の服もあります。
傷口を舐めてしまうことも回避できるので、術後服でもよいかどうか、獣医師に相談してみてくださいね。
処方されたお薬はきちんと飲ませる
術後は抗生物質などのお薬が処方されます。ワンちゃんの体を回復させるための大切なお薬です。
「回復してきたから飲ませなくてもいいかな」と飼い主さんの判断で投薬を中止してはいけません。
お薬の服用期間については、必ず獣医師と相談するようにしてください。
生活スペースを清潔にする
術後にもっとも気をつけるべきことは、感染症対策です。
傷口まわりだけではなく、ワンちゃんのトイレ、寝床やケージ、ワンちゃんが動き回る室内スペースは清潔に保つようにしてください。
特にワンちゃんが使うトイレは、排泄物を放置したままだと菌の繁殖に繋がってしまいます。排泄後はすぐに片付けましょう。
また、ごはんやおやつを食べた後の食べかす、抜け毛にも注意が必要です。
まとめ
大切なワンちゃんが手術を受けたとき、飼い主さんは回復の兆しが見えるまで心配でたまらないと思います。
ワンちゃんができるだけ早く回復するためには、術後のケアはとても大事です。
術後のワンちゃんの食事は、やわらかく消化のよさそうなごはんやおやつを与えてあげてくださいね。
また、術後のワンちゃんは感染リスクが高まります。生活スペースは清潔を保つように心がけましょう。
また、動物病院から処方されたお薬はきちんと飲ませてあげてくださいね。
ワンちゃんの一日も早い回復を願っています。お大事にしてください。