犬と一緒に電車・バスに乗るときのマナー&ルール
犬と初めて電車やバスなどの交通機関を利用するとき、どのようなことに注意したらいいのか、また、乗車ルールがよくわからないという飼い主さんは多いかもしれませんね。そこで今回は飼い主さんが知っておきたい乗車ルールや気をつけるべきマナーについて解説します。
ルールを守れば犬と電車やバスにも乗れる
基本的に条件さえ満たしていれば、犬も電車やバスにも乗ることができます。
乗車条件は各交通機関で異なりますが、犬は「手回り品」として扱われるケースが一般的です。
手回り品とは携帯できる所有物のことで、ここでは乗客が車内に持ち込む荷物のことを指します。
犬と乗車の予定があるときは、事前に利用する鉄道会社、バス会社のルールを確認しておきましょう。
それでは「JR東日本」と「都営バス」が定めているルールをご紹介します。(2024年2月時点)
JR東日本のルール
JR東日本では次のような規定があります。
- タテ・ヨコ・高さの合計が120㎝以内の動物用ケースに入れたもの
- ケースと動物を合わせた重さが10kg以内のもの
- 普通手回り品切符(1ケースごとに290円)を購入すること
犬の全身が隠れることが大前提です。
そのため、抱っこやリード着用だけでは乗車は不可で、全身が隠れてもスリングはNGとされています。
また、ドッグカートはカートを含めた寸法が制限を超える場合は利用できません。
参照元:
JR東日本公式サイト『車内設備・サービス』内のQ&A(2024年2月閲覧)
JR東日本公式サイト『手回り品のご案内』
都営バスのルール
東京都交通局(都営バス)では、「盲導犬・介助犬以外の動物の持ち込みは原則としてはお断りしています」とのことです。
ただし、愛玩用小動物(ペット)は、次の条件を満たせば乗車が可能です。
- 全身がすべて隠れる完全なケースに入れる
- 縦・横・高さの合計が250㎝以内、長さ2m以内、重さ30kg以内のもの
- 手回り品すべてを片手で持てること
ドッグカートやスリングは安全面や動物アレルギーのかたへの配慮という観点から持ち込みはNGです。
参照元:
東京都交通局公式サイト『バスの利用方法』(2024年2月閲覧)
電車やバスに乗車デビューする前にしておきたいこと
犬にとって電車やバスに乗ることは、非日常体験となるため、強いストレスを感じてしまう可能性があります。
乗車デビューする前には、次に紹介するようなトレーニングをすることをおすすめします。
犬をクレートに慣れさせる
普段からクレートに入ることに慣れている犬なら心配は少ないですが、不慣れだと嫌がる犬も多いでしょう。
まずはクレートに入ることから慣れさせてあげてください。
おやつを使って誘導するとうまくいきやすいです。
入ってくれたら、たくさん褒めてあげてくださいね。
犬をクレートに入れた状態で動かしてみる
クレートには入ってくれるものの、入ったまま動かすと、嫌がる犬もいます。
犬をクレートに入れたまま、飼い主さんが持ち運びをしてみましょう。
室内を歩いたり、階段の上がり降りをしたり、慣れてきたら外出時の移動で使ってみて、だんだんと慣れさせていくといいですね。
騒がないでいられたら、たくさん褒めて、ご褒美のおやつをあげる、といったことを繰り返しトレーニングしましょう。
それから、犬が入った状態でのクレートはかなり重く感じるかもしれません。
また、水平を保ちながら移動するのも難しいものです。
都営バスでは「片手で持てること」が乗車条件になっているので、飼い主さんも持ち運びに慣れておく必要があります。
はじめは短い時間で乗車してみる
いきなりの長時間の乗車は、犬の心身に負担がかかります。
最初は1駅だけ乗ってみるなど、トライアルは犬の様子をうかがうために大切なことです。
実際に電車やバスに乗ってみたら、聞きなれない音やにおい、人の多さ、振動で犬が落ち着きをなくしてしまうこともあります。
飼い主さんと犬はストレスを感じますし、周囲のひとへの配慮も考えて、まずは1駅だけチャレンジするといいですね。
また、犬が騒いでしまうのではないかという心配と同時に、乗り物酔いをしてしまうのではないかと不安になる飼い主さんは多いでしょう。
犬が乗り物酔いするかどうかは個体差がありますし、実際に乗車してみないとわからないため、まずは短い時間だけ乗って様子をみることをおすすめします。
乗車中から乗車後に、犬に次のような様子がみられたら、乗り物酔いをしている可能性が高いです。
・吐いてしまう
・よだれを垂らす
・舌を頻繁に動かす
・元気がなくなる
乗車中にこのような様子が見られたら、途中下車をして外の空気を吸わせてあげましょう。
そして、次回の乗車に備え、獣医師に相談して、酔い止め薬を飲ませることも考えてみてください。
本格的な乗車デビュー当日に気をつけたいこと
犬と電車やバスに乗ってお出かけをする当日、乗車するまでに気をつけたいことがあります。
乗車前にトイレは済ませておく
緊張や振動でお漏らししてしまうこともあるので、クレートに入れる前にはトイレを済ませておきましょう。
予めクレート内にはペットシーツを敷いておくことをおすすめします。
心配なときは、マナーベルトやおむつを履かせるのもいいですね。
食後すぐの乗車は避ける
食べてすぐに移動となると、振動の影響で犬が嘔吐してしまうこともあります。
犬のごはんは、乗車の2〜3時間前には済ませておきましょう。
犬の持ち物の準備を忘れずに!
犬が落ち着いていられるように、好きなおやつを持って行くといいですね。
ただし、乗車中にたくさん食べると嘔吐してしまうこともあるので、様子を見ながら少しずつ与えるようにしてください。
下車後にクレートから出したときの水分補給用のお水と、予備のペットシーツもあると安心です。
犬の暑さ・寒さ対策を!
クレートを座席の下に置くと、空調の温風や冷風が直接当たってしまい、体調を崩してしまうこともあります。
夏場は布で包んだ保冷剤やミニ扇風機などを活用し、冬場は布で包んだカイロや毛布をクレート内に入れておくとよいでしょう。
犬が少しでも快適に乗車できるように、クレートの置き場所やクレート内に工夫をしてあげてくださいね。
犬と電車やバスに乗るときの基本的なマナー
犬と電車やバスに乗るときに、飼い主さんが知っておきたい基本的なマナーをご紹介します。
動物が苦手なひとがいることを忘れずに!
j一緒に乗車している人の中には犬が苦手なひと、動物アレルギーがあるひとがいる可能性もあります。
公共交通機関を利用するときは、そのことを理解し、周囲に配慮することがとても大切です。
混雑時は避ける
クレートに限りませんが、手回り品が大きな物だと、混雑時は他の乗客の迷惑になるかもしれません。
朝夕のラッシュ時は、飼い主さんにも犬にも大きなストレスになるため、避けたほうがよいでしょう。
補足しますと、混雑時には改札口で駅員さんに断られることもあります。
犬から目を離さない
犬がクレートから手を出したり、ひょっこり尻尾が出てしまったりということもあります。
また、犬に気づいたほかの乗客がクレートに手を伸ばすことも考えられるので、くれぐれも犬から目を離さないでください。
アクシデントが発生したときは
犬が乗り物酔いして吐いてしまったり、落ち着かずに鳴き止まなかったりというアクシデントが発生する可能性があります。
このとき飼い主さんは、犬をクレートから出してしまいそうですが、乗車中や駅構内ではクレートから出すのはNGです。
このようなときは慌てずに、途中下車をするようにしましょう。
まとめ
犬が電車やバスに慣れてくれたら、ちょっとした遠出や旅行などにも行けるようになって、ますます楽しくなりそうですよね。
基本的に犬はクレートに入れて乗車する必要があるため、事前のトレーニングはしておかなければなりません。
犬が慣れてくれるまで、飼い主さんも根気よく続けてください。
そして、人々が暮らす社会の中には、犬が苦手、動物アレルギーのひとがいる可能性もあるため、周囲に配慮するということを忘れないようにしましょう。
犬と快適に電車やバスに乗車するためには、飼い主さんがマナーを心得ておくことと、乗車のルールを守ることが大切ではないでしょうか。