犬の健康のために知っておきたいドッグフードの選び方
犬を健康を保つためには、必要な栄養素が摂れるドッグフードを与えることが大切です。しかし、多種多様なドッグフードがあり、どれを犬に与えたらよいか悩んでいる飼い主さんも多いことでしょう。今回はドッグフードの選び方、種類と特徴、与え方について詳しくご紹介します。
犬にドッグフードを与える意味と目的
ドッグフード(以下「フード」)は、犬にとって必要な栄養素がつまった総合栄養食です。
基本的にフードとお水を与えていれば、必要な栄養素は摂取できます。
そのため、犬に合うフードを選んで、適量を与えることが健康を保つためにとても重要です。
ただし、市販されているフードの種類は星の数ほどあり、どれを犬に与えていいのか悩んだことのある飼い主さんは多いと思います。
食べてくれていても、下痢や嘔吐があれば、フードが合っていない可能性が高いです。
まずは購入する前に、フードの種類や、犬に合いそうなフードの選び方を知っておきましょう。
フードの種類と特徴をまとめましたので、選ぶときの参考にしてください。
フードの形状
形状には、ドライ、ソフトドライ、セミモイスト、ウェットの4種類があります。
「ドライ」はカリカリとした食感で、多くの犬が食べているタイプでしょう。
微生物の繁殖を防ぐために、水分含有量が10%以下となっているものがほとんどです。
保存期間が長く、4種類の中でもっともコストパフォーマンスがよいタイプです。
「ソフトドライ」と「セミモイスト」は、どちらも水分含有量が25~30%で、しっとりとした食感が特徴です。
2つの違いは、加熱発泡処理がされているか、いないかです。
ソフトドライは加熱発泡処理がされていますが、セミモイストはされておらず、押し出し機などで製造されています。
「ウェットフード」は、水分含有量が75%以上でとてもやわらかな食感が特徴です。
殺菌工程がされており、長期保存が可能で、缶に入ったものが多く普及しています。
嗜好性が高いものが多く、犬の食いつきがよくなることでも知られています。
ただし、高価なものが多いため、継続して与えることが難しい場合は、ドライとウェットを混ぜたり、食欲が落ちたときに与えたりというような使い分けがおすすめです。
粒の大きさ
パッケージには「小型犬用」「大型犬用」などの記載があり、粒の大きさがわかる写真付きの商品もあります。
犬の体格や口の大きさによって、噛みやすい、飲み込みやすいようなサイズになっています。
犬種別のものもある
犬種ごとに配合されている原材料などが異なる「犬種別のフード」もあります。
どれを選んでいいのか迷っている飼い主さんは、参考にしてみてもよいでしょう。
グレインフリー(穀物不使用)もある
フードにも小麦やとうもろこしなど、イネ科の原材料を使用していない「グレインフリー(穀物不使用)」のものがあります。
グレインフリーのフードは、消化のよい動物性たんぱく質が配合されているため、便秘や下痢などの腸内トラブルの予防効果が高いといわれています。
また、アレルギー対策としても効果が期待でき、被毛が整いやすくなるといったメリットも挙げられます。
フードを選ぶときのポイント
犬の健康を保つために欠かせないフードですが、特定の目的に合わせたものを選ぶことも大切です。
では、フードを選ぶときにおさえておきたいポイントをご紹介します。
ライフステージによってフードを選ぶ
「パピー用」「成犬用」「シニア用」と、ライフステージによって与えるフードを選びましょう。
パピー期の犬には、栄養バランスが整ったパピー用のフードが適しています。
パピー期は骨や筋肉の発達が盛んな時期なので、栄養素が豊富に含まれていることが重要です。
7歳以降のシニア期に入り、明らかに運動量が減った犬には、成犬用よりもカロリーが低い「シニア用」のフードに切り替えを検討してみてください。
関節の動きをサポートする成分が含まれていると尚よいでしょう。
目的に合ったフードを選ぶ
「ダイエット中の犬」には、低カロリーでありながら、栄養バランスが保たれているフードを選びましょう。
また、満腹感が得やすい食物繊維豊富なフードもおすすめです。
「食物アレルギーがある犬」には、アレルギー反応を引き起こす原材料を避けることが重要です。
フードのパッケージに記載されている原材料の欄をしっかりと確認してください。
「療養中の犬」には、獣医師のアドバイスを受けながら、適切な療法食を取り入れてみるとよいでしょう。
療法食は、治療の内容に合わせて栄養成分が調整されており、皮膚にトラブルがある犬のケアをサポートするものや、臓器の機能をサポートするものなどがあります。
成分表示欄をよく見ること
「ペットフード安全法」では、原材料名、賞味期限、事業者名および住所、原産国名の表示が義務付けられています。
また、「ペットフードの表示に関する公正競争規約」では、ペットフードの目的、給与方法、成分の表示、内容量の記載が定められています。
そして、どのメーカーのフードでも、原材料は配合量が多い順に記載されています。
添加物や保存料を犬に与えたくない飼い主さんは、成分表示欄のチェックは必要不可欠です。
フードを与えるときのポイント
フードを与えるときのポイントについてご紹介します。
一日分を数回に分けて与えること
パッケージには一日に与える目安量が記載されていますが、商品によって異なるため、必ず確認してください。
一般的には、成犬期以降は朝晩の一日二回が基本的な回数です。
しかし、パピーは消化機能が未熟なため、一度にたくさんのフードを食べることができません。
生後半年くらいまでは様子をみながら、お湯でふやかしたものを少量ずつ、複数回に分けて与えるようにしましょう。
歯が生え始めてくる頃から、日数をかけてドライフードに移行していくのが望ましいといわれています。
犬によっては、小食な子や足りなくておねだりする子もいますよね。
小食でも元気に過ごしているなら問題はありませんが、フードを全然食べない場合は獣医師に相談してください。
おねだりをする犬の食欲に応じて与えていると、肥満になる可能性が高まります。
肥満が引き起こす疾患にさせないためにも気をつけるべきです。
犬の食べる適量を知ること
フードを与えるときは、適切な量を知ることが大切です。
パッケージには体重や年齢による適量の目安が記載されているので参考にしてください。
しかし、犬の活動量などを考慮して、適切な量を計算して与えるようにしましょう。
ライフステージによって回数や内容を見直すこと
パピー期から成犬期、シニア期、さらにハイシニア期といったライフステージによって回数や給餌量、内容を見直す必要があります。
・パピー期=少量でも必要な栄養素とエネルギーが摂取できるもの
・成犬期=犬に合った適量と健康が維持できるもの
・シニア期=成犬期よりカロリーの少なく体重管理ができるもの
・ハイシニア期=臓器に負担のかかりにくい消化のよいもの
近年では犬の平均寿命も延びつつあります。
いつまでも健やかにいてもらうためには、犬に合ったフードを飼い主さんが選んで与えることが大切です。
ライフステージによって調整してあげてくださいね。
切り替えるときは日数をかけること
フードを切り替えるときは、新旧の配合比率をゆっくりと変えていくことがポイントです。
食いつきがよいと一気に切り替えてしまいたくなりますが、一気に変えた途端にまったく食べなくなるケースもあります。
食いつきとお腹に合うかどうかは別の問題なので、日数をかけて様子を観察するようにしましょう。
特に便の状態のチェックは忘れずに行い、軟便や下痢が続く場合は獣医師に相談してください。
切り替えようと新しいフードを購入するときは、もしかしたら犬がまったく食べてくれない、お腹に合わないなどを考慮し、少量のものを購入するか、試供品があればそれで試してみることをおすすめします。
まとめ
犬の健康を守るためには、犬に合った適切なフードを選び、与えることがとても大切です。
犬の年齢や体調、目的に合わせて、最適なフードを選んであげましょう。
また、与え方にも注意を払い、食事習慣を整えることも大切です。
「毎日同じものを食べ続けて飽きないのかな」と思いがちですが、特別な理由がない限り、同じものを与えたほうが犬の体には安心です。
犬の健康のために、フード選びは慎重にしっかりとしたいですね。