秋の散歩で注意したい寄生虫とその予防策
ほんの少し秋を感じるようになり、散歩がしやすい季節になってきましたね。しかし、犬にも人間にも害を及ぼす寄生虫には十分な対策が必要です。今回は寄生虫の種類や症状、具体的な対策と予防法について解説します。予防薬と駆除薬の選び方についても触れていますので、ぜひ参考にしてください。
秋に特に注意すべき寄生虫とは?
秋は気温が適度に下がり、犬にもひとにとっても散歩が快適な季節ですよね。
しかし、この時期に注意すべき寄生虫が存在します。
外部寄生虫ではノミやダニ、マダニ、内部寄生虫ではフィラリアや回虫が代表的です。
秋の散歩中、犬に付く寄生虫は、外部寄生虫と内部寄生虫のどちらも存在しますが、特に外部寄生虫であるノミやマダニが活発に活動する季節です。
では、これらの寄生虫が引き起こす症状と影響について、それぞれ詳しく詳しく見ていきましょう。
『ノミ』
ノミは外部寄生虫の代表で、屋内外問わず、日本中どこにでも生息しています。
外では草むら、花壇、公園に生息していることが多いです。
家の中では暗く湿気のある場所を好み、畳やカーペット、家具の隙間、犬の寝床周辺などに生息します。
ノミは13℃を下回ると活動が弱まるといわれていますが、冬でも暖房をつけると室内は概ね13℃以上になるでしょう。
そのためノミは、室内だと一年中活動しているということになります。
犬が激しくかゆがったり、皮膚に赤みや湿疹がでたりしている場合は、ノミに刺された可能性があるので動物病院を受診してください。
『マダニ』
マダニも外部寄生虫のひとつで、草むらなどに生息しています。
マダニは犬の皮膚に付着して吸血を行い、やがて体が膨らんで大きくなる特徴があります。
そして、マダニに刺されると激しい痒みや炎症が生じます。
また、重要な病原体を媒介する可能性が高く、一旦刺されるとバベシア症やライム病などを発症するリスクが増大します。
吸血中のマダニを発見した場合、慌てて取り除こうとしてしまいがちですが、無理に引き剥がそうとするのはやめましょう。
マダニの残った部分が感染症の原因となる可能性があるため、できるだけ早急に動物病院で処置をしてもらうほうが賢明です。
『フィラリア』
フィラリアは内部寄生虫で、蚊を介して感染することが多く、犬の心臓や肺の血管に大きな負担をかけ、命をおびやかす非常に危険な寄生虫です。
秋もまだ蚊の活動が続いている時期であるため、フィラリア感染を予防するためには、年に一度の抗原検査と定期的な予防薬の投与を欠かさないようにしましょう。
しかし、投薬の開始は、抗原検査を受け、この時点でフィラリアに感染していないこと(幼虫と成虫がいないこと)を確認してから行うことが前提です。
感染している状態で投薬を始めてしまうと、フィラリアの幼虫が一斉に死滅することでさまざまな病態を引き起こしてしまう可能性があります。
そして、犬はまれにショック状態に陥ることがあり大変危険です。
まずはフィラリアに感染していないかどうかを確かめる事が重要です。
散歩での寄生虫対策
少し涼しさが感じられる秋の散歩は、愛犬の歩くスピードが速くなることが多くなりますよね。
ここでは散歩にまつわる寄生虫対策について、具体的な対策方法をお伝えします。
散歩コースの選び方
散歩コースの選び方は寄生虫予防に大きく影響します。
秋でもまだ高温多湿の日があるため、草むらや森林道にはノミやマダニが多く生息しています。
できれば春から秋は、このようなエリアを避けるようにしたいものです。
公園や舗装された道、人工芝のドッグランなど、寄生虫がいないような環境を選ぶことも大切です。
服装の工夫
服装にも工夫をすると寄生虫予防の対策になります。
犬用の薄手のウェアは、直接肌に寄生虫がつくのを防げます。
防虫効果のあるウェアもあるので試してみてはいかがでしょうか。
また、飼い主さんも露出を控えた服装にすることで、寄生虫に接触するリスクを減らすことができます。
蚊に刺されない工夫
フィラリア症は、ミクロフィラリアという寄生虫をもった蚊に刺されることで発症します。
犬の体内に入ったミクロフィラリアは、約2カ月かけて犬の心臓で成虫になります。
このように、寄生虫をもった蚊を媒介して発症するため、フィラリアの予防薬を投与すると同様に、蚊に刺されない対策をすることが大切です。
散歩をするときには、犬用の虫除けスプレーや蚊よけ首輪、ペット用蚊取り線香などを携帯することをおすすめします。
外出後のチェック
外出の後は、ひともチェックを欠かさないでください。
飼い主さんや同居の家族が寄生虫を連れてきてしまうこともあります。
愛犬は、体全体、とりわけ耳の中や足の裏、尾の付け根など、寄生虫が付きやすい部分を念入りにチェックしましょう。
外出後にはしっかりと体をチェックし、必要に応じてブラッシングやシャンプーを行うことが予防につながります。
家庭での予防法
愛犬に寄生虫を寄せ付けなくするために家庭でできる予防法についてご紹介します。
愛犬の生活空間を清潔に保つ
愛犬の生活空間を清潔に保つことはとても重要です。
ノミやマダニといった外部寄生虫は、犬のベッドやケージ、寝具類、おもちゃなどに潜むことが多いため、毎日清掃することが望ましいです。
こまめに掃除機をかけたり、除菌スプレーやノミ・ダニを寄せ付けないシートを活用したりすることで除去する効果も期待できます。
定期的なブラッシングとシャンプー
定期的なブラッシングとシャンプーも寄生虫予防として効果があります。
ブラッシングは、ノミやマダニを早期発見しやすくなります。
シャンプーは行った後に完全に乾かし、ノミ取りブラシでブラッシングをすることがポイントです。
その際は、脱毛はしていないか、皮膚の健康状態は保たれているかなどを注意してみてください。
予防薬と駆除薬の選び方
寄生虫の対策法として忘れてはいけないのは予防薬と駆除薬です。
ここでは予防薬と駆除薬の種類や選び方についてお伝えします。
予防薬と駆除薬の種類
予防薬には、首元に垂らすタイプのものや、チュアブルタイプのもの、注射するタイプなど、さまざまな種類があります。
『首元に垂らすタイプ』
犬の首元に垂らすスポットタイプは、薬が苦手な犬や食物アレルギーのある犬に適しています。
1回の投与でノミは約1~3ヶ月、ダニは約1ヶ月の予防効果があります。
『オールインワンタイプ』
オールインワンタイプのチュアブルは、ノミ、ダニ、フィラリアの予防に効果があります。
お肉の風味が施されており、おやつ感覚で服用できるため、よろこんで食べる犬も少なくありません。
概ね1回の投与で1ヶ月の予防効果があるとされています。
『注射するタイプ』
注射はフィラリアの予防と駆除ができ、1度接種すると1年間の効果があります。
投薬のし忘れを防げるため、注射タイプを選ぶ飼い主さんも多いようです。
ただし、ノミ、ダニの予防は別に行う必要があります。
投薬前は動物病院で検査を受けましょう
食物アレルギーや疾患を持つ犬、薬が苦手な犬など、服薬に関して配慮が必要な犬もいますよね。
投薬前には、動物病院で抗原検査(血液検査)を受けましょう。
動物病院で処方される予防薬や駆除薬は、一般的に効果が高いといわれています。
そして、かかりつけの獣医師は、愛犬に合ったものを選んでくれるため安心です。
市販薬で済ませる方法もありますが、市販薬の中には効果が薄かったり、副作用を引き起こす恐れもあるので、動物病院を受診してください。
まとめ
秋の散歩で注意したい寄生虫と予防策についてお伝えしました。
秋は犬もひとも過ごしやすい季節ですから、散歩も楽しいひとときになるのではないでしょうか。
そこで、気を配りたいことは入念な寄生虫対策です。
散歩コースの選び方や服装の工夫、外出後のチェックなどの対策をすることで、寄生虫のリスクを軽減することができます。
家庭内では、愛犬の生活空間を清潔に保ち、定期的なブラッシングとシャンプーをすることが予防につながります。
また、動物病院ではきちんと検査を受け、処方される予防薬と駆除薬を服用するようにしましょう。
しっかりと予防策を講じて、楽しい秋の散歩を楽しんでくださいね。