犬に与えてはいけない危険な食べ物とは?
ひとには無害でも、犬が口にしてしまうと命を脅かす危険な食べ物があります。今回は「犬に与えてはいけない危険な食べ物」をお伝えします。また「与えるときに注意したい食材」と「安全に食べられる食材」についてもご紹介します。愛犬の命と健康を守るためにぜひ参考にしてください。
犬に与えてはいけない危険な食べ物
犬は人間とは異なる消化能力や体内での成分代謝を持っているため、私たち人間が何気なく食べている食材の中には、犬にとって非常に危険なものが含まれています。
飼い主さんはこれらの危険な食材について知識を持ち、愛犬の食事に配慮することが大切です。
それでは早速、犬に与えてはいけない危険な食べ物について見ていきましょう。
チョコレート・ココア
犬にとってチョコレートとココアは非常に危険な食べ物です。
これらにはテオブロミンとカフェインが含まれており、犬が摂取すると動悸や嘔吐、下痢、さらに症状が悪化すると痙攣や意識障害を引き起こす可能性があります。
中毒症状は摂取後4〜12時間以内に現れることが多く、特にダークチョコレートはその含有量が高いため一層の注意が必要です。
ぶどう類
ぶどう類は、マスカット、巨峰、レーズン(干しぶどう)、プルーンなど、品種を問わず与えてはいけません。
これらを摂取した場合、急性腎不全を引き起こす危険があります。
中毒の原因成分は未だ完全に解明されていませんが、少量の摂取でも命に関わる事態になることがあります。
症状としては、摂取後12時間以内に嘔吐や食欲不振が現れ、数日以内に腎不全が進行することがあります。
ネギ類
玉ねぎや長ネギ、らっきょう、にら、ニンニクなどのネギ類は、アリルプロピルジスルフィドという成分を含んでおり、犬にとって非常に危険です。
この成分は赤血球を破壊し、貧血を引き起こす可能性があります。
症状は摂取後30分から5日以内に出ることがあり、嘔吐や下痢、元気喪失が見られることがあります。
ネギ類は調理後も毒性が残るため、あらゆる形で犬に与えないよう注意が必要です。
鶏の骨
調理後の鶏の骨は、非常に硬く、壊れやすい性質を持っています。
そのため噛む力が強い犬が口にすると、骨が鋭く割れて口や喉、消化管を傷つける可能性があります。
また、小さな骨の破片が内臓に刺さった場合、深刻な損傷や内出血を引き起こす恐れがあります。
甲殻類・貝類
イカ、タコ、エビ、カニなどの甲殻類と、アワビ、サザエなどの貝類に含まれるチアミナーゼを犬が摂取すると、ビタミンB1欠乏症や食中毒を起こす恐れがあります。
さらに甲殻類と貝類は、下痢や嘔吐、消化不良、アレルギー症状によるアナフィラキシーショック、光線過敏症などを起こすこともあるため、与えないほうがよいといわれています。
銀杏
銀杏には犬が中毒を起こす成分「メチルピリドキシン」が含まれています。
イチョウの木の周りを歩く場合は、銀杏の拾い食いに十分に注意しましょう。
特にパピーは独特のにおいや形に興味を示すため、近づけないことがベストです。
イチジク
イチジクに含まれているタンパク質分解酵素のフィクシンは、下痢や嘔吐、口内炎を起こす恐れがあります。
生のイチジクだけではなく、ヨーグルトやパンなどの加工品に含まれるイチジクも犬に与えてはいけません。
アボカド
高栄養価のアボカドですが、ペルシンという成分は犬にとって少量でも毒になります。
摂取すると嘔吐や下痢、さらには呼吸困難、膵炎などを引き起こす可能性があるため、アボカドは与えてはいけません。
マカダミアナッツ
犬がマカダミアナッツを摂取すると、嘔吐や腹痛、震えなどの中毒症状を起こします。
個体差はありますが、概ね12時間以内に脱力の症状が現れます。
キシリトールを含む食品
犬がキシリトールを摂取すると、急激なインスリンの分泌を誘発し、それに続いて低血糖症を引き起こすことがあります。
キシリトールは人工甘味料として食品に使われていることもあるので、商品の成分表示欄をよく確認しましょう。
与えるときに注意すべき食材
犬に与える際、注意が必要な食材は数多くあります。
必ずしもすぐに命に関わるものではないものの、過剰に摂取すると健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、十分に注意を払う必要があります。
では、犬に与えるときに細心の注意を払うべき食材をご紹介します。
魚類
魚類には、DHAやEPA、オメガ3脂肪酸、タンパク質など、豊富な栄養素が含まれていますが、骨やアニサキスのことを考慮すると、犬に生の状態で与えるのは避けるべき食材です。
焼く、茹でるなどすれば問題ありません。
トマト
トマトのへたや茎、葉部分にはソラニンという毒性成分が含まれています。
この部分を食べてしまうと、胃腸炎や心臓機能の低下を引き起こすことがあります。
熟した実の部分は少量であれば問題がありませんが、未熟なトマトやその部分を与えないように注意が必要です。
卵
卵白に含まれるアビジンという酵素は、犬の皮膚や被毛の健康を保つために必要なビオチンの吸収を妨げてしまうといわれています。
ただし、アビジンは熱に弱い性質なので、加熱調理した卵なら犬に与えても大丈夫です。
生卵の卵白だけを犬が摂取することはないと思いますが、卵を与えるならば茹でる、焼くなど加熱したものを与えましょう。
乳製品(チーズ・牛乳)
チーズを好む犬は多いですが、ラクトース(乳糖)に対する消化能力が低いため、下痢を引き起こす可能性があります。
また、チーズには塩分も含まれる場合が多く、摂り過ぎは健康に悪影響を及ぼします。
人間用の牛乳にはラクトースが多く含まれているため、犬には少量であっても与える際には注意が必要です。
犬が安全に食べられる食材リスト
肉類、野菜類の中から、犬が安全に食べることができる代表的な食材をご紹介します。
肉類
肉類は犬に必要な栄養素である動物性たんぱく質が豊富な食材です。ただし、肉類を与える際は塩分や調味料を加えず、必ず火を通してから与えましょう。
【鶏肉】
高たんぱく質かつ低脂肪の食材です。鶏の皮や脂肪分は取り除き、骨は安全のために避けてください。
【牛肉】
豚肉や鶏肉と比較すると、健康サポートに欠かせない亜鉛は約2倍、鉄分は約3倍、ビタミンB12は約4倍も多く含んでいます。ただし、脂質も多いため与えすぎには注意です。
【豚肉】
リンやミネラルが豊富に含まれており、良質なタンパク源になります。しかし、生の豚肉はサルモネラ菌やトキソプラズマなどの寄生虫が含まれている可能性があるため、加熱調理をして与えるべき食材です。
【馬肉】
高タンパクで低脂肪かつ低カロリーであるため、体重管理や疲労回復に適しています。嗜好性が高く、消化吸収もよいので、食が細い犬やハイシニア犬にもおすすめです。
野菜類
犬が食べられる野菜にはビタミン類やカリウム、食物繊維など、健康をサポートしてくれる食材が多いです。皮があるものはむいて、適度な大きさに切ってから加熱調理して与えてください。
【かぼちゃ】
食物繊維が豊富で、犬の消化を助ける効果があり、脂肪分が少ないことも利点です。ビタミンAやカリウムも含まれており、白内障の予防など、目の健康維持に役立つ食材です。
【じゃがいも】
豊富な炭水化物、ビタミンCとB6、カリウム、食物繊維が含まれており、犬の健康維持に役立つ食材です。ただし、犬に与える際は必ず加熱調理を行い、毒性のある芽や皮を取り除いてください。
【さつまいも】
ビタミンAとC、さらに食物繊維が豊富に含まれています。整腸作用があり、便秘がちな犬に適しています。ただし、糖分も多く含まれているため与えすぎには注意が必要です。
【ブロッコリー】
ビタミンCとK、鉄、食物繊維が含まれた栄養価の高い野菜です。また、スルフォラファンという成分には抗酸化作用があり、病気予防や老化防止に役立つといわれています。
まとめ
犬が食べてはいけない食べ物には、ネギ類、ブドウ全般、チョコレート、キシリトールを含む食品など、日常的に目にする食品が多数含まれています。
飼い主さんは、犬にとって安全ではない食材をしっかりと把握するようにしてください。
また、犬が届かない場所に保管することも大切なことです。
そして、食後に犬の様子がいつもと違う場合は、すぐに獣医師に相談して迅速な対処をしましょう。
このように、日常のちょっとした注意が大切な愛犬を守ることにつながります。
適切な食事管理を心がけて、愛犬と健康で楽しい生活を続けてくださいね。