高栄養食ボーンブロスってなに?ワンちゃんにボーンブロス、出汁スープをあげるメリットと注意点
「ボーンブロス」をご存知でしょうか?高栄養食のボーンブロスは飲む点滴ともいわれ、注目を浴びつつあります。今回はボーンブロスとは何かを詳しく解説し、ワンちゃんにボーンブロスを与えることのメリットや注意点についてご紹介します。普段の食事でワンちゃんの栄養面が偏っていないか気になる飼い主さん、食欲不振のワンちゃんの飼い主さん必見です。
ボーンブロスとは?
「ボーンブロス」という言葉自体、初めて耳にする方もいるかもしれませんので、まずはじめに、ボーンブロスの意味と摂取できる栄養素についてご紹介していきます。
ボーンブロスの意味
ボーンブロスとは、鶏、牛、豚などの骨付き肉や、魚から取った出汁スープのことで、ボーン(骨)+ブロス(出汁)という意味です。
骨付き肉をじっくりと煮込むことで、骨の中にあるコラーゲンやヒアルロン酸、カルシウム、アミノ酸などが溶け出します。
出汁にはグルタミンなどのアミノ酸が含まれていて、腸内環境を整えたり、免疫力を高めたり、栄養満点なスーパーフードとして注目を集めています。
日本での歴史はまだ浅いですが、韓国では鶏の骨を煮込んだ参鶏湯(サムゲタン)、中国では鶏湯(ジータン)などが古くから薬膳料理として親しまれています。
欧米では美容によいとのことからボーンブロスのスープスタンドがあるほどで、世界各国でもボーンブロスは愛飲されているのです。
ボーンブロスに含まれている栄養素
食材によって若干異なりますが、ボーンブロスからえられる栄養素は以下のようなものがあります。
・コラーゲン
・ヒアルロン酸
・ミネラル
・ゼラチン
・アミノ酸
・グルコサミン
・コンドロイチン
・グルタミン
・アラニン
・プロリン
これらは、健康を維持するためや皮膚や髪の毛(被毛)の艶をよくするために欠かせない栄養素です。美容効果を期待して積極的に摂取するひともいらっしゃるでしょう。
ボーンブロスには、骨付き肉と野菜そのものの旨味が凝縮されているため、体によい栄養素をいち早く吸収することが可能です。
ボーンブロス・出汁スープをあげるメリット
ボーンブロスは「飲む点滴」とさえもいわれている栄養満点なスープですが、具体的にどのようなメリットがあるのか詳しく解説していきます。
腸内環境を整えてくれる
ひとでもワンちゃんでも、腸内には病原菌から体を守ってくれる免疫細胞の多くが存在しています。
腸の調子がよいときは、全身によい影響を与えてくれますが、逆に腸の調子が悪いときは、悪影響を及ぼしやすくなります。
「腸活」という言葉もあるほどですから、腸内環境を整えることはひとにとっても、ワンちゃんにとっても非常に大切なことです。
骨から抽出されるゼラチンやグルタミンには、腸の粘膜を整える働きがあり、適切な消化をサポートしてくれます。
元々お腹が弱いワンちゃん、下痢を起こしているワンちゃんの療法食としてもボーンブロスは適しているといえるでしょう。
高齢のワンちゃんの流動食にも最適です。
歯周病予防に効果的
昨今では歯周病にかかるワンちゃんが増えています。しかも3歳を過ぎたワンちゃんの約8割が歯周病にかかっているともいわれており、深刻な問題と捉えるべきです。
歯周病予防にはビタミン類やたんぱく質、鉄分、コラーゲンといった栄養素が効果的といわれています。
大切な歯と歯茎を支える役目はコラーゲンが担っていますが、日常的に食べているフードではなかなか摂取が難しい成分です。
しかし、ボーンブロスなら骨の形成に重要なコラーゲンが豊富に含まれています。
毎食のフードにボーンブロスをプラスして与えてあげると歯周病予防に効果的でしょう。
関節を保護してくれる
ボーンブロスには、骨や軟骨などに必要なたんぱく質であるグルコサミン、コンドロイチン、ヒアルロン酸、コラーゲンが含まれているため、関節の動きを担う軟骨を良好な状態に保ってくれます。
ひともワンちゃんも、年齢を重ねるごとに関節の劣化も起こりやすくなります。関節の柔軟性が乏しくなったり、軟骨が擦り減ってきたりすると、関節に炎症が起き、痛みがあるため思うように歩くことができにくくなります。
高齢になり、足腰が弱くなるのはやむを得ないことかもしれませんが、ワンちゃんが痛い思いをするのは忍びないですよね。
将来的に発症しやすいとされている疾患は、徹底的に予防し、避けておきたいものです。
ですので、ワンちゃんが若くて元気なうちから、食事面への配慮は必要と考えられます。
関節の保護にも効果的ですから、同じボーンブロスをワンちゃんと一緒に飲んでもよいでしょう。
ただし、同じものを飲む場合は、味付けはしないでください。
また、ワンちゃんには毒とされている野菜(ネギ系)は一緒に煮込んではいけません。十分に気をつけてください。
代謝力アップにつながる
ボーンブロスには骨から溶け出したコラーゲンやヒアルロン酸がたくさん含まれています。
ひと(特に女性)は、若々しさを保つためにコラーゲンが含まれているものを食事に取り入れたり、化粧品にヒアルロン酸が成分として配合してあるものを選びますよね。
コラーゲンやヒアルロン酸は、ワンちゃんにもアンチエイジング効果が期待できる成分です。毛艶がよくなったり、皮膚に潤いが出てきたりと、代謝が活性化されてイキイキするでしょう。
水分補給になる
水分不足は腎臓病や尿結石などの疾患を起こしやすく、暑い季節は熱中症になりがちです。体温調節のためにも積極的に水分を摂らせるようにしたいものです。
しかし、特に冬の時期は極端にお水を飲まなくなったり、暑い時期でもお水を飲みたがらないワンちゃんもいますよね。
そのようなときは、いつも食べているドライフードにボーンブロスをかけてあげることで水分補給ができます。ぜひ試してみてください。
高齢のワンちゃんの食事にピッタリ
ボーンブロスは自然な旨味・風味があり、消化がよいため、高齢のワンちゃんにおすすめです。
高齢のワンちゃんは、老化によって食べるスピードが落ちたり、消化機能が低下したりします。また、味覚や嗅覚に衰えが出て、食欲不振になってしまうこともあります。
さらにドライフードなどの固形物の飲み込みがしにくくなることもあるため、食生活の面での見直しが必要不可欠になるでしょう。
しかし、ボーンブロスなら必要な栄養を摂ることができ、食べやすく水分補給にもなるため最適だといえます。
ボーンブロス・出汁スープをあげるときの注意点
ボーンブロスにはたくさんのメリットがあり、ワンちゃんに早速与えてみたくなったのではないでしょうか。
ただし、ボーンブロスを与えるときには注意すべき点があります。
それは、ボーンブロスに使われる「原材料の出どころ」がはっきりしているかどうかです。
ボーンブロスは骨付き肉を煮込み、骨までも食べられるスープです。
劣悪な環境下で飼育されている牛や豚、鶏などの骨には摂取上限をはるかに上回る量の鉛が蓄積されているというショッキングな話もあります。
骨の中に蓄積された鉛を知らず知らずのうちに食してしまうことになりかねません。
鉛を過剰に摂取してしまうと、ひともワンちゃんも、頭痛、食欲減退、歩行障害、骨や関節の痛み、便秘など、さまざまな中毒症状がみられるようになりますが、どれも無症状のうちに進行します。
初期症状としては貧血が起こりやすくなるといわれています。
これらの理由から、ワンちゃんに安心してボーンブロスを与えるには、原材料の出どころが明確に記載されているもの、使われているものを選ぶべきだと断言できます。
さらに、原材料が何であるかを気にするひとは多いかと思いますが、産地や飼育環境、製造工程がどのようにされているかにも注目してください。
ボーンブロスの商品を選ぶ際は、原材料、産地、飼育環境、製造工程が明確に記載されているものを選びましょう。
まとめ
ボーンブロスを食するメリットには、以下のようなものがあることがわかりました。
・整腸作用がある
・歯周病予防に効果が期待できる
・免疫力アップ、代謝力アップにつながる
・水分不足を補える
・高齢のワンちゃんや食欲不振のワンちゃんの流動食にもなる
ボーンブロスがなぜ高栄養食かといわれているのかがよくわかりましたね。
普段食べているドッグフードだけでは補えない栄養素がふんだんに摂れるでしょう。
ただし、ボーンブロスに使われている原材料、産地、製造工程には細心の注意をすべきです。
安全なものをワンちゃんに与えるためには、原材料などの見極めが重要なポイントとなります。
「ボーンブロスをうちの子に試してみたい」と思っている飼い主さんに、今回の内容が役立ち、参考になれば嬉しいです。