やきもちをやく犬にみられる行為とケアの大切さについて
よその犬を撫でたり、スマートフォンなどの操作・視聴に夢中になったりしているとき、いつの間にか割り込んできたということはありませんか?これは犬がやきもちをやいているときにみられる行為です。やきもちのやきかたは犬によってさまざまです。今回は犬のやきもちについてお伝えします。
犬もやきもちをやく
飼い主さんのことが大好きな犬ほどやきもちをやきます。
犬によってやきもちの感情を表す行為はさまざまですが、飼い主さんへの依存度が高い犬ほど、やきもちをやきやすい傾向にあります。
「自分だけを見ていてほしい」と思う気持ちになるのは、ひとの恋愛感情と似ているかもしれません。
ではなぜ、犬がやきもちをやくのかというと、犬のルーツが関係しています。
犬は本来ならば群れで生活をし、社会的なつながりを育くむ動物です。
しかし、群れの中に新しい存在が加わったとき、群れの秩序が乱れたり、順位が変わったりすることを嫌い、恐れるといった感情が芽生えます。
現代の犬は家族という群れの中で、順位を意識して生活をしています。
ですので、群れのリーダーと認めた飼い主さんの指示はよく聞きますよね。
そしてまた、飼い主さんの関心が自分にあればホッと安心します。
しかし、大好きな飼い主さんの気持ちが自分に向いてないと感じると、やきもちをやいてしまうのです。
犬がやきもちをやくときってどんなとき?
飼い主さんの気持ちがほかの動物やひと、物に向いているとき、犬はやきもちをやきます。
よその犬
お散歩中に会ったよその犬を撫でているとき、その犬と飼い主さんの間に割り込んでくることがあります。
これはやきもちをやいている犬にみられる行為です。
このとき、さらに吠える、唸るなどの威嚇をし始めたときは注意が必要です。
相手に怪我をさせてしまう可能性がないとは言えないので、すぐに引き離しましょう。
赤ちゃん・新しいペット
赤ちゃんやペットが新しい家族として増えたとき、飼い主さんはどうしても新しい家族に気を取られがちになります。
そのため、犬は寂しくなり、不安や焦りを感じてやきもちをやくことが多くみられます。
特に赤ちゃんやパピーは、お世話に時間がかかるため、やきもちの感情が激しく出ることもあります。
「新しい家族が増えるまでは、自分が一番にかまってもらえていたのに」と思い、やきもちをやいてしまうのでしょう。
来客
初対面のひとがテリトリーである自分の家に入ってくると、不安と警戒心から吠えてしまったり、怯えてしまったりする犬もいますよね。
そして、飼い主さんと来客が親しげに会話をしていると、飼い主さんの関心が来客にばかりいってしまうため、やきもちをやき始めてしまいます。
時々犬を撫でたり、アイコンタクトをしたりして、犬を落ち着かせてあげてください。
物
スマートフォンやテレビなどに夢中になっていると、犬によっては物にすらやきもちをやく子もいます。
わざと画面が見えなくなるように、飼い主さんと機器類の間に割り込んでくることもあります。
かまってほしいというサインを出しているので、どうか犬を優先してあげてくださいね。
やきもちをやいているときにみられる行為
実際にやきもちをやいている犬に多く見られる4つの行為について解説します。
甘えてくる
飼い主さんの関心を取り戻そうとして、甘えてくる犬は少なくありません。
「自分を見てほしい、かまってほしい」と体をすり寄せてきたり、飼い主さんの手を舐めたり、その愛くるしい行為は健気な犬の気持ちの表れです。
やきもちのなかでもかわいらしい行為ですが、犬は強く不安を感じています。
撫でてあげたり、大切なことは変わっていないことを伝えてあげましょう。
ふさぎ込む
飼い主さんがほかのことに夢中になり、相手をしてもらえないことがわかると、部屋の隅に移動したり、ふて寝をしたりする犬もいます。
犬によってはやきもちの感情が強くなりすぎて、元気がなくなる、下痢や嘔吐など、体調不良を起こしてしまう子もいます。
やきもちの度合いも個体差があるので、しっかりと観察することが大切です。
やきもちの対象に攻撃をする
やきもちが強くなってくると、対象のひとや動物、物に対して、吠えたり唸ったり、さらには攻撃の体勢になることがあります。
新しく家族に加わった赤ちゃんやパピーが攻撃の対象にならないように、犬が慣れてくれるまで生活空間を別にするなどの工夫と配慮が必要です。
また、スマートフォンやリモコン類などは、犬の手が届かない場所に置くようにしましょう。
壊れた電子機器類の部品を犬が誤飲しないようにするためでもあります。
問題行動を起こす
飼い主さんの関心を自分に向かせたくて、わざと粗相をしたり、自分の手や尻尾を噛んだりといった自傷行為をする犬もいます。
やきもちをやくことがストレスとなり、このような問題行動を起こすといわれています。
このようなとき、叱ることは逆効果になります。
犬の気持ちを理解して受け止め、ストレスを発散させてあげることが大切です。
ただし、粗相が長期間続くのは、病気によるものの可能性もあります。
動物病院を受診し、獣医師に相談してみてください。
犬がやきもちをやいたときの対処法
ここでは犬がやきもちをやいたときに、飼い主さんが心がけておきたい対処法をご紹介します。
𠮟らない
やきもちをやいた犬が問題行動を起こしたとき、つい声を荒げてしまうこともあるでしょう。
しかし、トイレに失敗してしまったり、吠え続けたりと問題行動を起こしている犬を叱るのは逆効果になります。
トイレの失敗は無言でササっと片付け、吠え続けているときは犬が落ち着きを取り戻すまで無視をするか、静かに叱ることがポイントです。
大声で叱ることはもっともよくありません。
飼い主さんと犬との信頼関係が崩れてしまったり、飼い主さんが反応してくれたと学習してしまったりする可能性もあります。
問題行動をやめたら褒める、やさしく接するなど、犬の心のケアをしてあげることが大切です。
先住の犬を優先する
赤ちゃんやペットなど、新しい家族が増えたとき、飼い主さんはお世話やトレーニングに気持ちや時間を取られがちになりますよね。
新しく家族に加わったのが赤ちゃんの場合は、犬が慣れるまで、別室で過ごさせて、徐々に距離を縮めるようにしたほうがいいでしょう。
だんだんと同じ空間にいさせるようにすると、犬にも少しずつ余裕が生まれてきて、赤ちゃんを家族として受け入れることができるようになります。
また、新たにお迎えしたのが犬の場合、「群れの中の順位は保たれるから大丈夫」と、安心感を与えるため、先住の犬を優先することが大切です。
ご飯を与えるのも構うのも、先住の犬が先というようにしてあげるとよいでしょう。
やきもちの対象が赤ちゃんやパピーの場合は、ケガをさせないように十分気を配る必要があります。
ストレス発散をさせる
犬はやきもちをやくことに強いストレスを感じている可能性があります。
一日のなかで、飼い主さんと犬だけの時間をつくり、そのときだけは思いきり犬の相手をしてあげるとよいでしょう。
飼い主さんを独り占めできる時間があると、ストレス発散になり、犬もうれしいはずです。
スキンシップを取りながら、たくさん話しかけてあげてくださいね。
まとめ
やきもちをやいている犬の行為をかわいいと思う飼い主さんも多いでしょう。
しかし、犬は、飼い主さんの興味、関心、お世話の対象が自分から移ってしまうことが不安でたまらなくなっています。
やきもちをやいていると気づいたときは、しっかりとケアをしてあげることが大切です。
また、犬がかまってほしさにすり寄ってきたときは、なるべく犬を優先してあげるようにしましょう。